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TCFD提言に基づく情報開示

シモジマはTCFD提言に賛同を表明しています。

 当社グループは、気候変動を含むサステナビリティに関する取組みを、経営上の重要事項として捉えています。
 TCFDでは、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について開示することが推奨されており、 当社グループでは、今後も経営理念や長期ビジョンのもとカーボンニュートラルや、循環型社会の実現に向けた取組みをより一層推進するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の充実を図ってまいります 。

1.ガバナンス

 当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題に関して、取締役会による監督の下、
適切なリスク・機会の認識と対応策の検討、実行・管理をする体制を構築しております。
当社におけるマテリアリティ(重要課題)の解決のためのガバナンス体制は以下の通りです。

ガバナンス体制
(1)取締役会
 サステナビリティ委員会で審議された気候変動に関連する方針・戦略、リスク対応などについて報告を受け、最終的な意思決定を行い、取組みを監督します。
(2)サステナビリティ委員会
 サステナビリティに関連する課題を検討するため代表取締役社長を委員長とし、執行役員が委員となるサステナビリティ委員会を2022年11月に設置し、2023年3月末までに11回開催いたしました。同委員会では、サステナビリティに関する方針・戦略・目標の策定、リスク・機会の評価・特定、審議を実施します。気候変動関連や人的資本を含む対応については、各事業部門、グループ企業への指示、取組み・目標の進捗管理を行い、状況に応じて方針や施策・目標の見直しを行い取締役会に報告します。またマテリアリティ(重要課題)そのものについても中期経営計画作成のタイミングや時代の要請にあわせ定期的な見直し、取締役会に付議します。
(3)サステナビリティ事務局
 サステナビリティ事務局は、サステナビリティ委員会の下部組織として、経営企画部・総務部・人事部を中心とするメンバーで構成され、グループ全体の気候変動を含むサステナビリティに関する課題の収集・整理、具体的な取組みのモニタリングなどを行い、サステナビリティ委員会に上程する方針・戦略・目標の素案の検討、グループ全社の観点でのリスク・機会の評価・特定を検討します。

2.戦略

(1)気候関連リスク及び機会の認識
  ①気候関連リスク・機会の分析
 気候変動が当社に及ぼすリスク・機会の抽出及び、長期リスクへの対応と機会の実現に向けた戦略を検討するにあたって、国際エネルギー機会(IEA)が2021年に発表したNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZEシナリオ)、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)による地球温暖化シナリオ(RCP2.6-RCP8.5)及び第6次評価報告書(2021年発表)による地球温暖化シナリオ(SSP1-1.9-SSP5-8.5 )を参考としてリスク・機会の分析を行いました。
世界平均気温の変化
 ②気候関連リスク及び機会
 今後の脱炭素社会への移行を想定した場合、事業を通じた環境配慮型商品の普及に向け、当社の果たす役割は大きいと捉えています。一方で、炭素税賦課によるコスト負担、異常気象によるサプライチェーンの寸断などによる販売機会喪失などのリスクも存在します 。
リスク
リスク
(2)シナリオ分析
 当社は、今後の脱炭素社会移行に向け環境配慮型商品の需要拡大を、いかに実現していくかがポイントとなります。また、炭素税等導入によるコスト負担への対応、物理リスク発生時のリスク低減のためのBCP対応がポイントとなることなどがシナリオ分析から分かりました。
 ①移行リスクの財務的影響と対応
 <炭素税等の導入によるコスト負担>
 当社では、温室効果ガスの削減に向け、着実に取組みを進めていくこととしていますが、炭素税が導入されると自社での輸送やエネルギー利用に伴うコスト負担増のリスクが存在します。また、当社が取り扱っている製品のなかで化石燃料由来の原料が利用されているものも多く、そこへの課税によるコスト増の可能性も想定されます。
 2023年3月期時点の温室効果ガス排出量(Scope1・2)をベースにNZEシナリオが想定する炭素税が導入されるとしても年間のコスト負担増は1億円未満であり、影響は小さいと想定されます。仕入製品に転嫁された場合のコスト増や当社グループ全体への影響については、今後適切に把握し、その対策を検討していきます。
<財務的影響>
・2023年3月期のScope1・2排出量水準でNZEシナリオの炭素税賦課がなされた場合
  5,220t-CO₂e(2023年3月期・連結) × 130 US$/t-CO₂e =55万ドル
 為替レート(130円/$:2022暦年平均)とみて約9,329万円
 ②物理リスクの財務的影響と対応
 <台風や洪水によるサプライチェーン寸断の影響に伴う販売機会の喪失>
 物理リスクでは、台風などの大型化、異常気象の頻発によりサプライチェーンの寸断が起きることが懸念されます。その場合、仕入商品が在庫不足の状況に陥り、販売機会の損失が発生するリスクの可能性が高まります。
 なお、過去には新型コロナウイルス禍での生産停滞で、店頭での品薄が発生し、販売機会の喪失などにつながった事例 もあり、災害などの発生でのリスク回避に向け、当社オリジナル製品については、生産地の輻輳化など含めたリスク分散などを図っております。製品仕入れでのリスク回避に向け、今後も様々な対策を講じてまいります。
 ③機会の財務的影響と戦略
 <環境配慮型商品の開発・普及による販売機会の拡大>
 当社では、環境保全への取組みとして環境に配慮した事業活動を進めており、独自の商品アセスメント基準を策定し、同基準に適合したオリジナル商品の展開を進めております。現時点で環境配慮型の商品は、全オリジナル商品の売上高に対して約10%の構成比ですが、年々その比率を上昇させています。今後この比率は、ますます拡大していくことが想定されます。例えば、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の考えから、自社の使用済み段ボールを再製品化する「クローズド・リサイクル」の取組みにより、紙袋を製作することや、段ボールとして蘇らせて、商品の発送用に使用する取組みを既に開始しております。また再生プラスチック原料を利用し、なお且つ厚みを薄くして製作されたゴミ袋を展開するなど、二酸化炭素排出量削減にも取組んでおります。他にも、生分解性で使用後に土壌や水中で微生物によって分解される、植物由来成分でできた商品展開なども積極的に展開しています。今後とも当社として出来る環境負荷低減の取組みを進めてまいります。

3.リスク管理

(1)グループの総合的なリスク管理
 当社は、代表取締役社長を委員長とし、関係部門の執行責任者を委員とする内部統制委員会を設置し、内部統制システムと並行したリスク管理プログラムを実施、内部監査部門による有効性評価と経営者の見直しによるPDCAサイクルによるマネジメント体制を構築しています。
 気候変動を含むサステナビリティに関する重要なリスクについては、グループ全体に影響を与える可能性があることからサステナビリティ事務局などとも連携しサステナビリティ委員会での検討内容を内部統制委員会でも共有し推進する体制になっています。
(2)気候変動を含むサステナビリティに関するリスクの評価と特定
 気候変動を含むサステナビリティに関するリスク・機会についてはサステナビリティ事務局が各事業部門、グループ会社と連携しています。気候変動に関しては、TCFD提言のフレームワークに沿ってシナリオ分析を含む評価・特定プロセスを用いて検討し、サステナビリティ委員会に報告、サステナビリティ委員会で評価・特定を行い、取締役会に報告されます。
(3)気候変動関連を含むサステナビリティのリスク管理
 気候変動関連のリスク・機会やその対策・目標についての進捗状況は、各事業部門、グループ会社からサステナビリティ事務局へ報告を行います。サステナビリティ事務局が取りまとめ、サステナビリティ委員会にて進捗管理を実施し、必要に応じて方針・対策・目標の見直しや各事業部門・グループ会社への指示を行います。そのうえで、進捗状況や方針・対策・目標の見直しなどについて取締役会に報告、取締役会で必要な意思決定を行います。

4.指標・目標

(1)気候関連リスク及び機会を評価する指標と目標
 サステナビリティを解決するための取組みとしては、全社の中期経営計画及び関連するアクションプランの中で、種々の目標を設定、進捗管理する取組みを推進しています。
 気候変動のリスクや機会に関しても、リスク低減あるいは機会獲得の進捗を評価するため指標を設定し、定期的にモニタリングしています。気候変動に関連した指標としては、温室効果ガス排出量を削減していくための指標・目標であり、もう一つは、環境配慮型の当社オリジナル商品の開発・売上拡大を果たしていくための指標・目標を設定しています。
 温室効果ガスの排出量を削減する取組みでは、まず当社単体での自社事業活動による温室効果ガス排出量を対象として、実績を把握し2030年3月期までの温室効果ガス排出量50%減(2023年3月期比)の目標を設定しました。なお、グループ全体およびサプライチェーン排出量(Scope3)での目標設定については、温室効果ガスの排出実態の把握を踏まえた上で次年度以降、検討していく予定です。
(2)温室効果ガス排出量(Scope1・2)の実績
 当社グループでは、長年にわたり電力使用量削減に取り組んでおります。この度、当社単体の温室効果ガス排出量(Scope1・2)を算定しました。2023年3月期の当社単体でのScope1・2温室効果ガス排出量は約5,220t-CO₂eです。継続的な店舗でのLED導入や、社用車における電動自動車の導入、再生可能エネルギーの導入などもあり原単位で改善は進んでいます。
(3)環境配慮型商品の売上比率、シェア、商品点数の拡大
 当社グループでは環境配慮型のオリジナル商品の売上比率、シェア、商品点数などの拡大を進めていきます。現時点での当社オリジナル商品における環境配慮型商品の販売比率は約10%を占めています。2030年3月期時点で20%まで拡大すべく商品ラインアップの拡充、販売促進に努めています 。
  2023年3月期 実績 2030年3月期 目標
当社オリジナル商品における
環境配慮型商品の販売比率
10.5% 20%

2023年6月